secret日和
人情が書きたい
パソコンに、むかう。
なるべく、波立たないニュートラルな気持ちで。

"ゆらぎ"が書きたいな、と思う。
なまなましい、血が流れているかんじ。痛々しく流す必要はないけれど、皮膚の内側にちゃんと、温度があるかんじ。
怒涛の展開なんかよりも、好きだったらうれしいとか、切ったら痛いとか、泣いたら眠くなるとか、そういうの。
ドラゴンイーターも、新しいイベントがたくさん思いつく。
結構怒涛の展開っぽいね、という感じなんだけど、そのイベントを通して書きたいものは戦争モノでも戦闘モノでも魔法モノでもなく、結局は人情モノだという結論。
特に台詞は、思いついたときに書き留めておかないと、忘れたら大変。
ぴんっと浮かんだやつじゃないと、台詞の持つ力が薄れちゃうんだよね。
そのとき浮かんだ一字一句じゃないと、あとからつぎはぎしたものだと、破壊力に欠ける。

台詞に関しては、句読点の一つも妥協が出来ない。
地の文はいくら硬くてもかまわないけど、台詞に関しては、実際にしゃべって違和感がないものがいい。
だから口に出したりもする。どこで切ったりするかも考える。
呼吸が乱れているときは?
叫ぶときは?
泣いているときは?
よろこびに上ずっているときは?
温度が伝わればいいなって、いつも思ってます。

さって、もうちょっと仕事するべし。
息抜き終了だぜー。
がむばってきます。


下は超人スポーツ漫画関連サイトの話。

【Read More】

息抜きに、俺様キングの誕生日祝いでも書こうと思っていたら、いつのまにか下剋上のヤバイやつになった。
後日談をもうちょっと付け加えたら、いつのまにかしれっとあがってると思います。
サイトに遊びに来てくれる人たちは、やっぱりソッチが見たいんだなぁと解析見てて改めて思った^^
ヤバイやつは、書くのは大変だけど、正直欲求不満解消にもなるんだよね。
あと、描写を試されてる気持ちになるから、それもいい。
小道具は眼鏡だったはずなのに、いつのまにか眼鏡どうでも良くなってしまいました。
でもいいよね、日吉の眼鏡。
更新したら、またお知らせします。もちっと待ってくれたまえ。


【Hide More】
2008.10.07 * 書くこと * CM:0 * TB:0 * top↑
抑圧されてる創作欲
■拍手でも「無理すんな」と言っていただきました。
ほんと、いつもありがとうございます……。
しおしお。心配をおかけしているようで心苦しい。
わたしは大丈夫です。がんばります。
太陽に背を向けて生きている。それが一番ダメかもしれない。


■オリジナルがとっても書きたいです。
ちょろっと外に出て散歩なんかをすると、今停滞しているものの新しい話ばかりが浮かんでくる。
なんで今やってる仕事じゃないんだろ? これも一つの現実逃避なのかしら。

*「ドラゴンイーター」の続きが書きたい。
この作品のテーマは「RPGのようなファンタジー」。
最初はDO!?エンタのために始めたんだけど、すっかり楽しくなってしまった。
全7章に決まりました。この間。
今まだ2章だけどね……どうするんだろ……。
いつもより、女の子キャラを増やして頑張ってます。
→現実逃避の産物

*「ark」と「夢喰い」をすべて書き直したい。
もう5〜6年前の作品なので、文章や構築がつたなすぎてはずかしい。
好きだといってくださる人もたくさんいて、本当に幸せだと思うけど。
書き直すというより、セルフカバーかな。
特に「ark」に関しては完結してないので。
私なりに導き出した答えを、皆さんと共有したい。


なんにせよ、人とのつながりと、人間の弱さ的なところを、ちゃんとしっかり逃げずにとらえていきたいな。
それがやっぱり、私がモノを書くという原動力になってるんだと思うから。
魂が揺れるのはやっぱり、人間らしさに触れたときだと思うから。


【Read More】
*二次創作も書きたい。
この短期間に、今持ってるアレやコレなサイトの原作に触れ直して、改めて好きだなぁと感じました。
ぶっ飛んだスポーツ漫画のサイトに関しては、我慢できずに少してこ入れしました。
手をつけたものは全部まるっとケリをつけたい。
すべて、今はもう盛りが過ぎたジャンルなのにも関わらず、見捨てずに来てくださってる方々に感謝です。


【Hide More】
2008.09.27 * 書くこと * CM:1 * TB:0 * top↑
土曜日に「Do!? エンタ」で更新している原稿をまとめました。
■毎週土曜日にヒーヒーいいながら更新しているファンタジーが、第一章がまとまった感じなので、まとめページを作っておきました。
リンクに【Dragon Eater】というタイトルで入れておくので、興味のある方は是非チェックしてみてください。
ドがつくファンタジーです。

【ドラゴンイーター】
アスガルド王国の北西に位置する領地ラッセルは、未曾有の危機に晒されていた。
2年前から、強大な力を持つドラゴンが現れるようになったのだ。
領城におさめられていた宝珠「ドラゴンオーブ」を持ち出した領主の息子が、両親や城の人間をことごとく虐殺し、逃亡したのだった。
現在は、ドラゴンを退ける唯一の力を持つといわれるカリストフ伯爵が、領民たちを守っており、伯爵は人々から、英雄と慕われていた。
生まれた村をドラゴンに焼き払われ、たったひとり生き残った少女ルクスは、自暴自棄になって踏み込んだ「神の庭」と呼ばれる広大な森の中で、大罪人である領主の息子、シグルドと出会う。
果たして本当に彼は家族や領民を虐殺した大罪人なのか?


今後は5話ごとにまとめて、設定などとあわせてアップしていこうと思っています!
よろしければ感想などいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします!
2008.07.15 * 書くこと * CM:0 * TB:0 * top↑
【ヨリドリミドリ】
【ヨリドリミドリ】

「そういえば雅兄、あのキレイな彼女どうしたの?」
 眼前に積み上げたケーキの山にフォークを突き刺しながら、さして興味なさそうに少女が言った。
「彼女? 誰?」
 テーブルに頬杖をついて、こちらもつまらなそうに応じる。
「うわ、酷いオトコの発言だよ、それ」
 ショートケーキを口に運び、ようやく姫架は顔を上げてこちらを見た。
「このあいだ一緒にいた人だよ。セミロングの」
「……ああ」
 ようやく思い当たった。頷いて、だいぶ冷めた紅茶を口に運んだ。
「誤解しているようだから訂正しておくけど、別に彼女でも何でもないです」
「ええっ! 女のカンを甘く見てない? あたしに嘘ついてどうするの!?」
「……その言葉、そのままお返しします。俺がお前に嘘ついてどうするの」
「じゃあなによ」
 姫架はぷすりと苺にフォークを突き刺す。
「まぁ、しばらく仲良くはしてたんだけど、ねえ」
「ふられたの?」
「身も蓋もない言い方をすると、そういうこと」
「へえ、雅兄もふられることあるんだ」
「大概はふられますよ、俺は」
「ホント? あ、このチーズケーキおいしいよ。食べないの?」
「ホントホント。生憎と俺は甘いものを過剰摂取すると気分が悪くなるんだ」
 そんな三十路も近い男が何故ケーキバイキングに借り出されているかというと、つまりはそう、大きなお財布として、だ。
「そうなんだ。それで、なんでふられたの?」
「どうでもよさそうな口ぶりの人には、教えてあげません」
 ただでさえ財布として動員されているのに、赤裸々にプライベートを明かしてやる義理もない。
「こんなに興味津々なのに?」
 ケーキを前に、フォーク片手で、ふてくされるとは。
 お前いったい何歳(いくつ)だよ。
「じゃあアレだ。『雅サンって格好よすぎて、ワタシなんだか怖い!』ってふられるんだ!」
「……」
「アレ? 図星?」
「……まるっとではないが、大体そういう感じ」
「ヤなオトコ」
 自分で切り出しておいて、ばっさりと切り捨てる。今日も容赦がない。
「『ヨクワカラナイ』って言われるの。そんなに複雑怪奇ではないと思うけど」
「かぶってた何匹ものネコを脱いだら、ワガママなのがバレるからでしょ? 人付き合いがいいフリして、ホントは身内にしか優しくしないもんね」
「世界人類を皆愛せるか。時間は有限なんだ。手近なところから囲い込んで何が悪い」
「同感。でも回りは『ヨリドリミドリでしょ? いいわね』って顔で見るから、困っちゃうよね」
「ハタから見たら、甚だ嫌味な会話してるぞ、俺たち」
「本当のことだもん。いいんだ、名前も知らない人たちにネコかぶってられないよ」
「お前、日常からネコかぶってるのか?」
「これでも一応、世間を渡っていくには色々とね。ぐっとこらえて、罵声を飲み込んで、へらっと笑わなきゃいけないときだって、あるよ。人と、付き合って生きればね」
 チーズケーキのかけらを口に運んで、まるで悟りを開いたかのように簡単に、そんなことを言う。
「雅兄とは似たもの同士だから、べつに取り繕わなくてもいいんだもん。あたしと二人きりのときって、基本的にヤなひとだもんね」
「素なだけ」
「じゃあ、元々ヤなひとなんだ」
 きしし、と歯を見せて、類縁の娘は笑った。
「要とか、カンダには未だにいい顔してるもんねぇ」
 別にそんなつもりはない。憮然とすると、見透かしたように姫架は半眼になる。
 知ってるよ、と脅迫のように言って、レモンティーを飲み干した。
「しかし、よく食うな。バイキングとはいえ」
「みんなキラキラっと『取って』って言ってるんです。だから食べてあげないと失礼なの」
「ヨリドリミドリ、ってこと」
「そういうこと。……でも」
 急に真顔になって、姫架は目の前の皿に視線を落とした。
「欲しいものなんて、そんなにたくさん、ないよね。本当は」
 さくっと、ミルフィーユのパイ生地をフォークで割って、姫架は呟いた。
 そんなにたくさんのケーキを目の前に並べておいて、説得力のない台詞だな。
 でも。
「確かにね。それに、ご丁寧に並べられたものを取るだけなんて、甲斐がないさ」
「自分から捕まえにいってナンボってことね」
 肩をすくめ、姫架はミルフィーユを口の中に放り込んだ。


【終】



ヤマナシオチナシイミナシ。
この二人、似たもの同士だと思う。
二人きりだと多分、結構酷い会話をしてる気がする。
どうでもいいけど、「もってけ!セーラー○く」を聞きながら書いてました。今更。
2008.07.11 * 書くこと * CM:0 * TB:0 * top↑
【死に至る病】
 この世界には色がない。
 手を伸ばしても決して触れることのできない、そして破れもしない膜に、ずっとつつまれている。
 世界は、蚊帳のそとだ。
 きっと正しく言えば、俺が蚊帳のそとに置かれているのだろう。でも、主体は常に自分だから、この表現でおそらく間違いではない。世界は、蚊帳のそとだ。
 何の甲斐もない日々、苦悩のない毎日だ。
 人は、きっとそれを羨むんだろう。

 きみは器用で、順風満帆な人生だなぁ。

 感心したように、それでいてどこか呆れたように、頬杖をつきながら呟く。
 何も答えずに、苦笑を返した。
 起伏のない、ただひたすらまっすぐに伸びる一本道を往くことが、どれほど退屈なことか、思い描いたこともないんだろうな。
 言葉にしてしまえば、ただの嫌味にしか聞こえないだろう、この憤懣。
 あても、終わりも見えない道だ。しるべもない。
 行く先が見つからないなら、見つければいいのに、と。瞳を輝かせて言うひともいるだろう。


「でも、見つけ方が分からないんですよ、俺には」
 向かい合わせて座った男は、唇をへの字に曲げて黙り込んだ。
「お前って、嫌なやつだな」
 心底そう思っているように吐き捨てるから、なんだか面白くなった。
「俺は、吾妻先輩のそういう”鋭さ”が好きですよ」
「オトコに好きだと言われて、喜ぶシュミはない」
 吾妻珪丞は、投げやりにそう言って、煙草に火をつけた。
「なんで周りのやつらは分からないかな。俺はひと目見ただけで分かったぞ、お前がとんでもない悪党だってな!」
「悪党とはまた、古い言い回しだな」
「日本語ってのは、曖昧なニュアンスを表現することに優れている言語だ。お前は”悪党”だよ、間違いなく」
 彼は大学に在籍しながら、ほそぼそと執筆活動をする小説家でもある。彼の的確な表現力は周知の事実だから、きっと俺は彼の言うとおりに悪党なのだろう。
「名家のうまれで、容姿端麗。頭脳明晰でひとあたりもいいと来た。今どき、少女漫画でも見ないぐらいの超優良物件! しかし、だ」
 吾妻は、ガラスで出来た灰皿に短くなった煙草を押し付けて、身を乗り出して、
「性格が悪い」
 と言った。さも重大だと言わんばかりの声に、思わず笑ってしまった。
「その性格の悪い人間とわざわざ関わろうとする先輩も、充分奇人ですよ」
 暇だからと言って、違う学部の後輩を文学部の研究室に呼び出す心理も分からない。
「俺は警告だよ」
 所々破けている古いソファから立ち上がり、吾妻は部屋の隅にある給湯スペースに歩いていく。天井に届かんばかりの本棚の陰に隠れて、その姿は見えなくなった。
 ポットがほうほうと上げる、白い湯気だけが天井までのぼって、わだかまっている。
「俺が『こいつは悪党だから気をつけて!』って言ってやらんと、皆気づかないじゃないか。何に騙されてるのか、周囲は成瀬一馬を好人物だと思い込んでるからな!」
 吾妻は、憤懣やるかたないというような勢いで吐き出す。勢いよくマグカップに湯を注ぐ音が聞こえてきた。
「堂々と俺を指差してそんなことをいうのは、吾妻先輩ぐらいですよ」
「お前が俺になつくのも、そのあたりが原因だろ?」
 本棚の影から首だけを覗かせて、吾妻は笑う。
「”なつく”という表現はどうかな」
「真実だ。認めろ」
 両手にマグカップをたずさえて、吾妻が戻ってくる。しっかりと二人分用意するあたり、この人が何も考えていないようで、ちゃんと周囲が見えていることを物語る。歯に衣着せぬ物言いでよく変人扱いされる男だが、本当は誰よりも―――それこそ俺なんかよりも―――好人物であることは間違いない。
「一体お前は何が不満なんだ?」
 どっかりソファーに腰を下ろし、唐突に吾妻が切り込んできた。
「不満なんてあると思います? 先輩が言うように、俺はとてつもなく潤っている。環境も、資質も、ね」
「俺は絶対、お前に騙されてなんかやらんぞ」
 視線はまっすぐ、鋭く胸を射抜いた。
 挑む眼差しだった。綺麗事や当たり障りのないごまかしなどを、一切拒絶する強さだ。
 賢くはない。思わず苦笑してしまう。もっとうまく、摩擦を避けて歩いていく方法ならば、たくさんあるだろう。どうして障害物を迂回しようとせずに、ぶち壊して進もうとするのか。
 けれど、悪くはない。俺は、この男のそんな攻撃性を気に入っている。疑り深さを。
「俺はお前の”熱”を、見たことがない」
 随分と、酷薄な笑い方をした。唇が、片側だけ持ち上がっている。普段なら、絶対に見せない表情だ。うまく障害物を迂回して歩くには、不適切だから。

 余計な摩擦は、時間と労力の無駄。相手の望む姿を演じるのが、一番手っ取り早い。
 あたりさわりなく、温和で、空気が読めること。
 大体の人間が、同じことを求めている。
 イメージを裏切らないこと。そうすれば、余計に呼び止められたり、追求されたりすることもない。
 簡単なことだ。
 けれど、この男は例外なのだ。
 吾妻には真実が見えている。取り繕っても仕方がない。
 摩擦を生まないために、うまく作ったこの仮面に騙されずに、俺を悪党だと指差す目を持っている。
「見破られたのは初めてです」
 とびっきりの微笑で、言った。吾妻は、呆れたような半眼になった。
 ミルクも砂糖も投入されていない、漆黒の液体をたたえるマグカップを持ち上げる。
「お前は、それが”嬉しかった”のか?」
 唇にマグカップを近づけて、結局呑まずに手を下ろす。予想外の切り口で、相手が飛び込んできたから。
 わずかに波打つコーヒーの表面から、突き刺さるように注がれる視線に焦点をあわせた。
 膝に両腕を乗せて、ぐっと身を乗り出して、吾妻はこちらを見据えている。グレイゾーンを許さない眼差し。白か黒かを見定める目つきだ。
「本当は狡賢くて、世の中の人間すべてを見下して、当たり障りなくふれあいながら、決して何一つ許さない。そんな、狭量な本性を見抜かれたかったのか?」
 容赦がない。本当に、獰猛な攻撃性を隠そうともしないひとだ。生きにくいだろうな。
「お前は何かを、愛したことがあるのか?」
 下ろされたブラインドの隙間から、橙色の陽光が零れ落ちてくる。その光をまるで後光のように背負いながら、吾妻は無慈悲にとどめを刺す。
 今まで誰も、切り込まなかった最深部に。
 笑ってしまった。こんな場面で笑うことが出来る自分が、一番邪悪で、救いがたい。
 答えなんて、もう分かっているんでしょう、先輩。
 酷い人だ。
 追い詰めないと気が済まないのか。
「―――いいえ」
 忌々しげに、吾妻が鼻を鳴らす。
 だってそれが、貴方の望んでいた答えなのじゃないか。
「何かに狂うほど焦がれたことがない。どうしたら何かに夢中になれるのか、分からないんだ」
 色々なものに飛びついてみたりもした。試さなかったわけじゃない。
 それでも、我や時間を忘れて没入できるものなんて見つからなかった。
 見渡せば世間は、様々な欲求や愛にあふれているのに。
 だからきっと、悪いのは世界ではない。
「先輩、別に俺は世の中すべてを見下しているわけじゃない。逆ですよ。境界線を引いて、誰とも交わらないのは、劣等感があるからだ。本来誰もが生まれながらに持っているはずの欲求が、欠けていることを見破られるのが、嫌なんだ」
 しゃべりすぎている。
 ここまで露骨な吐露は初めてだ。

「でも俺には、”お前は狂ってる”って指差されたがってるように見える」
 吾妻は新しい煙草に火をつけた。
 深く吸いこみ、紫煙と共に細く吐き出した。
「だから巧妙で、少しいびつな道化の顔をしてるみたいに、見えるよ。でも結局見破ってもらえなくて、拗ねてる。更に世間を隔てる。お前は持て余してるんだよ、多分」
 痛ましいものを見る眼差しを、吾妻はこちらに向けた。
「”死に至る病”を」
 静かに、宣告する。
 ああ、と自然に声が漏れた。腑に落ちた。わずかな安堵すら感じた。
 物心ついた時から、ずっとこの身を侵食し続けた大きな穴に、名を与えられた気がした。
「そう、かもしれません」
 それ以上、自らの欠陥については語らず、黙った。
 ここから先は愚痴になる。吾妻はこの穴を埋める術など持っていない。この空しさに名を与えてくれただけでも充分だ。
 夕日の色が、血のように赤い。もうすぐ日が沈む。夜が来る。
 ブラインドのわずかな隙間から、切れ切れに注ぎ込まれる陽光が、斑な模様を床に描く。
 それが、大学で見る最後の夕日になることなど、知りもせずに眺めた。
 ただ、名づけられた空白を思った。

 先人は、”死に至る病”と呼んだのだ。
 ―――絶望のことを。


【了】
2008.07.07 * 書くこと * CM:3 * TB:0 * top↑
       
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  • Author:吾妻花葉
  • 【名】吾妻花葉(創作)/花田葉子(文筆)
    その他、時と場合により如月冴子/吾妻ヒビキ
    【性】女
    【年】20代
    【所】東京都
    【生】青森県

    ■葉月生まれ
    ■大雑把O型

    ■現在フリーライターとして、アニメ関係に携わっています。まだまだ駆け出しなので、これから腕を磨いていきたい。
    日々感じたことやお仕事の話、ゲームなどの趣味、映画や本の感想など載せていきたいと思っています。

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